2017年総選挙ファクトチェックプロジェクトについて

【お知らせ】 本プロジェクトの関連記事報告会セミナーの模様を掲載しました。

 

 2017年総選挙に際して、FactCheck Initiative Japan(FIJ)の呼びかけにより、複数のメディアによるファクトチェックの協働プロジェクトを行うことになりました。

 事実かどうか疑わしい様々な言説・情報の真偽を検証するのが「ファクトチェック」(Fact-checking)の役割です。政治家など公人の発言、ウェブ上のコンテンツ、メディアの報道、SNS上のデマなど、社会に影響を与える様々な言説が対象となります。

 世界各国では、すでに数多くのファクトチェック団体が活動しています。メディアと市民が協力しているケースも多く見られます。とくに、米国大統領選、フランス大統領選、韓国大統領選などでは、非常に活発なファクトチェックが実施されました。

 FIJは、ファクトチェックの推進普及を目的に、ジャーナリストや学者など10名の発起人によって今年6月設立されたばかりの団体です(近くNPO法人設立申請予定)。これまで、国際ファクトチェック国際会議の報告集会や、ファクトチェック研究会を重ねてきました。ファクトチェックの国際標準的な原則(透明性・公開性)を踏まえて、暫定的にガイドラインも作成しました

 今回は、FIJガイドラインのもとで初めて実施されるプロジェクトです。ファクトチェックの協働・支援の仕組みをどうすれば効果的に機能するのか、様々な課題をさぐるための実証実験としての意味もあります。

 このFIJの試みに、5つのメディアが賛同し、参加することになりました。この取組みを通じて、今後、積極的に対話や情報公開を行いつつ、ファクトチェックに貢献する団体・個人を支援する枠組み作りを進めていく予定です。

 まだ私たちの試みは始まったばかりですが、論より実行です。FIJは、ジャーナリストのみならず、市民や各界の協力も得ながら、信頼されるファクトチェック・ジャーナリズムの実践を広げていきたいと考えています。ご関心のある方は、気軽にぜひご連絡ください。何卒ご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

 

本プロジェクトの参加メディア


 

 

評価委員会メンバー

  • ○ 奥村 信幸 (FIJ理事、武蔵大学社会学部教授、元テレビ朝日)
  • ○ 金井 啓子 (FIJ理事、近畿大学教授、元ロイター通信)
  • ○ 瀬川 至朗 (FIJ理事長、早稲田大学政治経済学術院教授、元毎日新聞)
  • ○ 牧野  洋 (FIJ理事、ジャーナリスト兼翻訳家、元日本経済新聞)
  • ○ 山崎  毅 (FIJ理事、NPO法人 食の安全と安心を科学する会理事長)
  • ※ 1記事あたり3名ずつ持ち回りで、ガイドライン適合性を評価しています。

 

本プロジェクトの流れ

  • ○ 参加メディアは、ファクトチェックの対象範囲やレーティング(判定)基準など、今回の総選挙におけるファクトチェックの方針を立て、自らの責任においてファクトチェックを行い記事化し、各自サイトで公開します。
  • ○ FIJは、参加メディアから記事化報告を受け、評価委員によってファクトチェックのガイドラインに準拠していると判断された記事を、順次FIJサイトで紹介していきます。(今回は初の実証実験プロジェクトで、ガイドラインも暫定版であること、周知期間も短かったことから、厳格な運用は必ずしも予定しておりません。)
  • ○ 今回の評価委員会は5名で、1つの記事ごとに3名が持ち回りで担当します。各メディア担当者に、評価委員のコメントをフィードバックします。
  • ○ 参加メディアのファクトチェック担当者どうしで情報、意見交換を行えるよう、プロジェクト期間中「Fチーム」(ファクトチェッカーチーム)を設けます。
  • ○ FIJ事務局下には「Iチーム」(情報共有支援チーム)を設け、ファクトチェックに必要ないし有益な情報、疑義ある言説・情報の収集などを行い、Fチームへの情報提供、共有を図ります。情報提供フォームおよびFacebookの公開コミュニティなどを通じて情報提供を呼びかけ、Fチームと情報共有します。
  • ○ FIJは、評価委員がガイドラインに準拠していると判断した記事を対象に、プロジェクト終了後、報奨金や経費補助金を支給します(今回は1メディアあたり上限15万円)。
  • ○ プロジェクト終了後、成果や課題などを検証するための報告会セミナーを予定しています。
  • ○ FIJと各参加メディアの間に契約関係はなく、本プロジェクトは、自主的な参加意思と協力関係によって成り立っています。