(現場リポート) 世界調査報道会議で議論されたファクトチェック
今月南アフリカで開催された世界調査報道会議で、立岩陽一郎理事がファクトチェックに関するセッションのモデレーターを務めました。その模様をリポートします。ぜひご一読ください。(会員サロンより転載)
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現場リポート: 世界調査報道会議で議論されたファクトチェック
(立岩陽一郎、ニュースのタネ編集長・元NHK)
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「来るかしら?」
アルゼンチンのファクトチェック団体チェッカードの代表、ラウラ・ゾーマーが軽く笑いながら言った。中南米のファクトチェックをリードする女性にも多少緊張の色が見える。
「そうだね、この会議でファクトチェックを取り上げるのは僕の記憶では初めてだと思う・・・ちょっと反応がわからないね」
そう言って、私も目の前の階層教室を見上げた。
世界各国からジャーナリストが集まって最新の実績を披露しあう世界調査報道会議。会議は2年に1度、場所を変えて開かれるもので、10回目の今年は南アフリカ最大の都市、ヨハネスブルグで開かれた(11月15日~19日)。世界のジャーナリズムの見本市とも言えるイベントだが、ファクトチェックのセッションが開かれるのは初めてだ。
それ故のラウラの不安だったが、開始時間の午後3時45分には200人ほど入る部屋が7割ほど埋まった。
パネラーは、ラウラの他、ドイツのコレクティブでファクトチェックのデスクを務めるデビッド・シュラバン、アフリカの4か国協同でファクトチェックを行うアフリカ・チェックからは若きファクトチェッカーのケイト・ウィルキンスンが参加。司会は私が務めた。
セッションは90分。パネラーの3人とは事前に何度もメールでやり取りをし、それぞれの発表内容の確認をしていた。決まりごとは、1人あたりの発表は10分から15分。私の説明も入れてこれだけで50分になる。残りを会場での質疑に充てるという計算だ。
最初に私から会場に質問を発した。
「先ず、尋ねたい。この中で何人が実際にファクトチェックを経験したことが有るか?」
会場の3割ほどが挙手した。
「ファクトチェックはジャーナリズムの今後に不可欠だと思う人?」
ほぼ全員が挙手。
その後、自己紹介のついでに日本での総選挙ファクトチェックを短く説明した後、2010年からファクトチェックを行っているラウラにマイクを渡した。
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