ファクトチェック支援技術の研究論文を発表しました
FIJでは、ファクトチェックの対象となる疑義言説を自動的に捕捉する手法を開発しようと、自然言語処理を専門とする東北大学大学院乾・鈴木研究室が中心となり、ファクトチェックの技術的支援プロジェクトを昨年秋から進めてきました(詳しくは、プロジェクトページ)。
このほど共同研究の成果をまとめ、12月3日、香港理工大学で行われた太平洋アジア言語・情報・計算会議(Pacific Asia Conference on Language, Information and Computation)で発表しました。
これまでも国内の人工知能学会などで論文を発表したことはありますが、査読付き論文の発表は初めてです。研究はFIJ理事の乾健太郎・東北大学大学院情報科学研究科教授が中心となり、スマートニュース株式会社や日本報道検証機構なども協力。主にツイッター上から特定の記事や言説に対して疑問を提起した投稿を自動的に捕捉し、機械学習により誤情報の可能性を予測する人工知能(AI)技術となります。
論文名は「マイクロブログテキストを用いた疑わしいニュースの捕捉」で、発表を担当したのは、東北大学大学院修士課程の田上翼さん。発表内容の詳細は、東北大学大学院乾・鈴木研究室にお問い合わせください。
この研究成果は既にファクトチェックの実務で活用が始まっています。FIJでは、スマートニュースの協力を得て、疑義言説を収集し一覧化するシステム=Fact-Checking Console(FCC)=の共同開発に取り組み、今年9月の沖縄県知事選ファクトチェック・プロジェクトで運用を開始。
FCCを基盤として収集された疑義言説情報を共有するシステム=ClaimMonitor=の開発も進め、来年からメディア向け供用を開始する予定です。詳細は、FIJ事務局にお問い合わせください。
査読付き論文
◉ Suspicious News Detection Using Micro Blog Text (マイクロブログテキストを用いた疑わしいニュースの捕捉) (スライドPDF) (The 32nd Pacific Asia Conference on Language, Information and Computation, 香港理工大学, 2018/12/3)
関連情報
◉ 学会発表論文:ファクトチェックのための要検証記事探索の支援 (人工知能学会、2018/6)
◉ 学会発表論文:ファクトチェックを必要とするニュース記事の探索の支援 (言語処理学会、2018/3)
◉ 東北大学大学院乾・鈴木研究室