金井理事のインタビュー記事が掲載されました

2019. 02. 26

 金井啓子理事(近畿大学教授)が共同通信の取材を受け、インタビュー記事が配信されました。共同通信社の承諾を得ましたので、記事全文を転載させていただきます。記事は北海道新聞、河北新報などに掲載されています。
 

記事全文

正確な情報、投票材料に ファクトチェック推進団体理事の金井啓子さん(共同通信 2019年2月15日配信、インタビュー連載企画「沖縄の針路」2回続きの(下)として)
 
 影響力のある人の発言が事実に基づいているか、発言の中の数字が正しいかなどを分析し伝える「ファクトチェック」の推進団体「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」(東京)で理事を務め、普及に取り組んでいる。昨年9月の沖縄県知事選では、争点になった米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設などに関する検証に関わった。
 ツイッターから真偽が定かでない情報を集めて公開したほか、情報提供も求めた。賛同したインターネットメディアや地元紙などがファクトチェックをし、FIJが適切だと判断した記事をサイトで紹介した。
 その結果「(辺野古移設に反対する)玉城(たまき)デニー氏が国庫支出金を要らないと言っている。デニー知事になると、沖縄経済は即日死亡する」との衆院議員の投稿が事実に基づいておらず、玉城氏の発言は「国の補助金に頼らない自立型経済を目指す」という趣旨だったことが分かった。歌手の安室奈美恵さんが玉城氏を支持しているような画像が広まったが、玉城氏を支持する東京都の女性の投稿が発端で、偽情報だったことも明らかになった。
 沖縄を巡る問題は意見が極端に割れる傾向が強い。特にネット上では事実よりも、感情的な言説や信じたい情報だけを手に入れ、考え方が先鋭化した結果、デマや間違った知識を信じたり広めたりする人が一定数いる。ファクトチェックで冷静になってくれるかもしれないと期待している。
 ただ、権力を持つ側について検証する機会が多くなることから「政府や(国政の)与党に反対する人が関わっている」というイメージを持たれているように感じる。今後はもっと幅広い立場の人が参加する枠組みにし、誤解を解いていきたい。
 ファクトチェックは海外では大きな動きになっているが、日本での活動は少ない。事実に基づく正確な情報は、自分を守ることにもつながる。普天間飛行場の辺野古移設の賛否を問う沖縄県民投票で、FIJによる特別な行動は予定していないが、これまでのファクトチェックを判断材料の一つにしてほしい。
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 かない・けいこ 1966年、東京都生まれ。ロイター通信の記者を経て、近畿大総合社会学部教授。専門はジャーナリズム論。
 

金井啓子理事の略歴

(かない・けいこ) 1966年生まれ。近畿大学総合社会学部教授(ジャーナリズム論)。Regis College(米国)、東京女子大学卒業後、ロイター通信の東京・大阪支局、ロンドン本社で記者、エディター、翻訳者として18年間勤務。2008年より近畿大学にて勤務。著書に『コラムで学ぶジャーナリズム グローバル時代のメディアリテラシー』(ナカニシヤ出版)。
 
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